平成二十六年第一回定例会六月議会 一般質問





一 県財政の中期見通しについて


北林たけまさ


 自由民主党の北林丈正です。一般質問の機会を頂いたことに感謝申し上げ、質問に入らせて頂きます。

 佐竹県政が誕生して早いもので6年目を迎えました。私も6年前に初当選以来毎年この場に立たせていただき、秋田を元気にしたい、 どうにかして人口減少率全国一位から脱したい、そうした思いを込めて毎年質問してまいりました。

 今年度は第二期ふるさと秋田元気創造プランがスタートし二期目を迎える佐竹県政が成果を求められる時期でもあります。県当局の前 向きな答弁をお願いし質問に入らせて頂きます。

 まず始めに県財政の中期見通しについて伺います。県財政課では今年二月に秋田県財政の中期見通しについて試算を行い三月にその結 果を発表しました。

 県財政の大まかな今後五年間の状況を見ると、歳入においては県税が増加するものの地方交付税が毎年減少し、一方歳出においては、 義務的経費が横ばいの中で、社会保障関係経費は毎年3.5パーセント程着実に増加し政策的経費の削減を毎年続けても財源は不足し 財政の硬直化は避けらない見通しです。

 試算は経済成長率3パーセントの場合と1.5パーセントの場合の二通りで行われておりますが、3パーセントの場合で見ても財源不 足額は平成26年度618億円、平成27年度90億円、平成二十八年度109億円と毎年10パーセント以上増え続け5年後の平成 31年には不足額が137億円に達し財政調整基金と減債基金のいわゆる財政二基金の残高は203億円となります。

 また成長率1.5パーセントの場合で見ると5年後の基金残高は136億円となり年間の財源不足額158億円を下回ります。あ と僅か5年で基金が底を尽き、慢性的な財源不足の状況が予測されるとすれば県財政の中期見通しは相当に危機的状況と言わざるを得 ませんが、知事はどのような見通しをお持ちでしょうか。

 また試算によると県税収入の伸び率が28年度まで数パーセントで続きその後も増え続ける見通しとなっておりますが、本県の経済 規模や人口の動向から見ると実態とかけ離れた数字のように思います。県税収入増加の根拠をお示し下さい。


知事答弁


 今年三月に公表した財政の中期見通しでは人口減少等により地方交付税が減少する一方で、臨財債を除く県債の発行抑制に努めている ものの、臨財債の発行により公債費が高止まりするほか、社会保障経費等の増加が見込まれ、年々収支不屈が拡大していく傾向にあります。

 そのような中で、人口減少に伴う行政需要の低減は一定程度見込まれるものの、各種のあらゆる要望に幅広く対応する形での予算編成を 行っていれば、自ずから限界が生ずることは目に見えております。 

 このため、財政バランスを考慮し、県民の皆様の理解を得ながら、厳しく施策。事業の取捨選択を行うなど、一層の行財政改革に取り組むほか 、プライマリーバランスの黒字化や財政二基金の残高維持を目標とし、健全な財政運営に努めることにより、厳しい財政状況にあっても県政 の重要課題にしっかり対応してまいりたいと考えております。

 また、現在、国において、法人課税のあり方や、地方受付税に係る特例加算の取扱いなど、地方財政に関わる制度設計についての検討がなされ ているところであります。財政運営は、こうした国の地方財政対策に大きく左右されることから、知事会等を通じ、地方交付税の充実につい て国に強く要望してまいります。

 なお、県税収入は、人口減少等の影響を当然受けますが、中期的な見通しにおいては、人口減少等に伴うマイナス分と、税率の引上げによる地方 消費税の増収や、回復傾向にある現下の景気動向を背景とした、国の経済見通し等を勘案した法人事業税等の増収などのプラス分を加味して 試算しております。




二 少子化対策と人口減少対策について


北林たけまさ


 次に「第二期ふるさと秋田元気創造プラン」(以下 第二期元気プランと言います)について幾つか伺います。
 県は平成26年度から29年度までの4年間を推進期間とする県政運営指針「第二期元気プラン」を策定しました。プランには元 気A「資源大国」の強みを生かし、成長する秋田。元気B魅力づくりと基盤整備による「交流」盛んな秋田。元気C多様な「人材」を 育み、誰もが「安心」して暮らす秋田。以上三つの元気が示されております。

 これを4年前の元気プランと比較をすると、初期プランには元気Cで示された「県民一丸となって脱少子化を」のフレーズが無くなっ ていることに気が付きます。佐竹知事は平成21年知事就任直後に自らが本部長となる少子化政策本部を立ち上げ、年間出生数8000超の 具体の数値目標を示しました。また当時私の一般質問に対しても「タブーにも踏み込んで全力で取り組む」と答弁していました が、わずか4年で「脱少子化」の看板を降ろしたような印象も受けます。

 昨年の秋田県の出生率は人口千人当たり5.9と前年より0.3ポイント減少し全国最下位であります。また本県に次いで低い青森県 と比べても0.9ポイントも下回っております。本県にそれだけ若い世代が少ない事の現れですが、早急にこれを改善することは無理 としても、県政の重要課題として「脱少子化」を元気目標に掲げ、広く県民から脱少子化案を引き出すことが必要ではないでしょうか。 知事のご所見を伺います。

   一方、知事は5月7日に人口減少対策に関する新たな庁内組織を立ち上げました。報道によると本県の人口は70万人が限度と述べ、 それを迎える2040年までに今から対策に取り組まなければならないとの事です。2040年まではあと26年ですから、言い方 を変えれば秋田県はあと26年で立ちいかなくなるという事でもあり、人口減少に対する知事の強い危機感が伝わります。

 また先頃、増田寛也元総務省が座長となる日本創成会議が公表したところによると、2010年から2040年までの間に「20才から39才の 女性人口」が5割以下に減少する自治体数が全国の約半分にあたる896におよび、本県は大潟村以外のすべての市町村 が該当するとの事です。出産の95%を担うこの世代の半数以上が残らない地域は将来的に消滅する可能性が高いとするものであり ます。

 人口の「再生産力」に着目した今回のレポートは、それぞれの地域で女性の定着を高める取り組みが必要であることを示してお り、県もそうした視点での検討も早急に行うべきではないでしょうか。

 いずれにしても少子化対策と人口減少対策については今までの延長線上で解決できないのは明らかであり抜本的な見直しが必要と思 います。少子化及び人口減少について初期の元気プランと第二期元気プランでは考え方や対策が変わったのか、また今回立ち上げた新 組織と、これまでの少子化政策本部や少子化対策局との違いはどこにあるのかお答えください。



 

知事答弁


 本県の人口減少の推移を大まかに分析すると、かつて鉱山や林業など資源立地型の産業に依存していたことや、農業が稲作を中心とし た生産構造となっていることなど、他県ではあまり例を見ない産業構造とその長期的な変化が、大きな影響を与えているものと考えてお ります。

 本県においては、こうした要因もあって、全国に比べ、人口減少の進行が速いことから、少子化対策については、引き続き、県 政の最重要課題の一つとして、これまで以上に力を注いでいく必要があります。

 このため、今後とも少子化対策局を中心に、これまでの成果を踏まえつつ、「脱少子化に向けた県民会議」などにおいて広く意見を求 めながら、子育て支援の充実・強化や、結婚・出産に対する意識の醸成など、県民一丸となった取組を進めてまいります。

 人口減少対策は多岐にわたり、相互に連動していることから、総合的な取組が必要であり、「第2期ふるさと秋田元気創造フラン」にお いては、これまでの「脱少子化戦略」に、地域コミュニティの維持や、地域の支え合い体制の整備など新たな要素を加え、「人口減少社 会における地域力創造、戦略」として、政策体系を再構築したところであります。

 さらに、先月立ち上げた、「人口問題対策連絡会議」と「プロジェクトチーム」は、中長期的な視点に立って、人口問題に関する総合 的な分析や研究を行うとともに、人口減少の抑制策や対応策などを推進する組織であり、これまでの少子化対策本部の機能を包含するも のとなっております。

 また、地域に若い女性が定着することは、本県の人口減少に歯止めをかけるとともに、元気な秋田の創造につながることから、引き続 き、結婚や就職に関する支援など、様々な対策を行ってまいります。

 特に、女性の働く場の確保の観点から就業構造をみた場合、その受け皿となるサービス業などの第三次産業のウェイトを高める必要が あることから、「プロジェクトチーム」において、こうした課題も踏まえた新たな施策の検討を行うなど、さらなる取組の強化に努めて まいります。




三 新戦略産業について


  1 輸送用機械関連産業の育成について


北林たけまさ


 次に新戦略産業について伺います。第二期元気プランにおいても戦略のトップに産業構造の転換に向けた産業・エネルギー戦略が示 され、次世代自動車や航空機産業、新エネルギーを軸として産業構造の転換を図り安定的な雇用を創出するとあります。隣の宮城県や 岩手県ではトヨタ自動車関連企業の進出により多くの工場が建ち生産額も飛躍的に増加しているようであり、本県も平成29年度に 輸送用機械器具の製造品出荷額1000億円の目標が示されております。

また航空機については国内における部材やエンジンの生産が増加を続けており、秋田精工もボーイング社の機内パネルの受注を伸ばし ているとの報道もありました。今後、更に航空機産業に参入する県内企業はあるのでしょうか。戦略に掲げる航空機や自動車など輸送 機関連産業の育成について、現状と今後の見通しなどについてお聞かせください。

知事答弁


 輸送用機械関連産業のうち、自動車産業は、一台の車に約三万点の部品が使用されており、一次、二次のサプライヤ-以外にも、数 多くの部品メーカーが生産を担っている裾野が広い産業であります。

 県としましては、部品等の調達機能を持った完成車メーカーの東北進出を参入のチャンスととらえ、コスト競争力や技術力の強化に 向け、工程改善や加工技術指導、人材育成を進めているほか、取引の拡大を図るため、商談会の開催や業界に精通したアドバイザーに よるマッチング支援等を実施しております。

 その結果、取引が拡大した企業が増えてきており、自動車部品の出荷額は平成20年の508億円から、平成二十四年には576億円まで 伸びております。航空機産業については、今後20年間で旅客機数の倍増が見込まれるなど、大幅に市場が拡大していく分野で あり、独自の技術力や品質保証能力があれば地理的要因に関りなく、参入が可能であります。

 このため、航空機部品や、製造・整備用機材の受注獲得に向けて、輪送機コンソーシアムを立ち上げ、企業間や産学官の連携を強化 したほか、航空機産業アドバイザー等による技術指導や、航空機メーカーとのマッチング支援等を実施し、受注実績は、平成20年の 三億二〇〇〇円から、平成24年には七億七〇〇〇万円まで伸びております。

 こうした輸送用機械関連産業は、求められる品質に対応する認証の取得や製品の安全性確認に時間を要するほか、電子部品を主力と してきた企業にとって、長いビジネスサイクルや多様な技術の擦り合わせといった産業特性の違いから、参入が容易ではありませんが、 一旦、参入することができれば、長期にわたって安定的な受注が確保されることになります。

 また、参入に向けて改善努力や技術研鑽を重ねることは、企業価値を高めることにもつながり、企業が成長していく上で大きな財産 となることから、今後も、参入のきっかけづくりから、製品の売り込みまで一貫した支援を行い、本県を牽引する産業に育ててまいり たいと考えております。




  2 送電網強化について


北林たけまさ


 また新エネルギー戦略に関しては、国の固定価格買い取り制度によりメガソーラーの導入が目標を上回るペースで進み、また風力発電 については、固定価格買い取り制度の対象に認定された県内合計出力が二十一万二千キロワットで全国一位となりました。今後は本県 経済への波及が期待される洋上風力発電の実現に期待が高まっておりますが、風力発電の導入拡大に必要な送電網の強化についてはい かがでしょうか。国の補助制度も創設されたとの事ですが、本県沿岸部の送電網の強化実施の体系や時期についてお聞かせください。



知事答弁


洋上を含めた風力発電の導入を着実に進めていくためには、国が主体となって、電力系統への接続先となる本県沿岸における地域内送 電網の強化と併せ、発電した電気を、電力の大消費地である首都圏まで安定して送電できる大容量の基幹送電網を整備することが必要 であります。

 このうち地域内送電網の強化については、今年度から新たに、東北地方が国の補助制度の対象地域となり、まもなく補助事業者の募集 が開始される見込みであることから、県内外の民間事業者において、事業実施主体となる特別目的会社の設立等の準備が進められている 状況にあります。

 この特別目的会社は、整備される送電網を利用する風力発電事業者と電力会社等の出資により設立され、事業費の二分の一を国が補助 する仕組みであり、事業化が実現した場合には、概ね五5年から10年程度で、送電線や基幹変電所など地域内送電網の整備が図られるも のと考えております。

 また、首都圏に至る基幹送電網の整備についても、電力会社間の地域間連系線の増強や、太平洋側の50万ボルト送電線に至る数十万 ボルト級の基幹送電線の新設などを、国に対して、強く要望しているところであります。




  3 木質バイオマスの活用についてて


北林たけまさ


 またバイオマス発電や木質バイオマス利用についてはどうでしょうか。私は一昨年の一般質問でも述べましたが、木質バイオマスは原 料の収集や製造が必要な為、地域に与える経済効果は風力など他の自然エネルギーに比べて格段に大きく雇用も生まれます。

木質バイオマスは古くから薪や炭など燃料として身近な所で使われていたため「旧エネルギー」とみなされる傾向が強く日本ではこれを洗練し て利用していく事に熱心でありませんでしたが、ヨーロッパではボイラーの燃焼効率を高めたり太陽光など他のエネルギーと組み合わ せて効率的に使ったり、伐採や搬出の効率を高めたりして木質バイオマスエネルギーの導入拡大に成功しています。本県でも豊富な木 材資源を製品や原料の他、エネルギー源として積極的に利用することで地域にお金を回し雇用を生む事が求められています。

 私は今年三月に山形県最上町へバイオマスエネルギー活用に関する視察に行ってまいりました。最上町では間伐材に燃料としての価値 を持たせエネルギーの地産地消と循環型社会の実現を目指したバイオマスエネルギー地域システム実証化事業に取り組み、現在は医療 ・福祉の統合施設にバイオマスボイラーによる冷暖房及び給湯システムを導入しています。町の森林資源はGISシステムにより正確 に把握され収穫コストを推定したうえで効率的な間伐を行い、チップにしたうえでボイラー燃焼し、暖房や冷房、給湯に利用します。

 これにより削減された重油やガスは年間約二千四百五十万円に対しチップの供給やボイラーの運転管理費用は約二千三百五十万円であ り100万円ほどおつりがきます。チップボイラーは採算面でも灯油や重油ボイラーに勝り、また圧力が低いため寿命も約25年と石油 系のボイラーより2倍以上長いとの事です。さらに森林の伐採収集、チップの生産は民間会社で行い補助金なしでも採算は十分取れる とのお話でした。

 従来山の間伐費用には補助金が投入され、また収集運搬にも費用が掛かるため本県では年間40万立方メートルもの間伐材が 放置されていますが、やり方次第では、森林資源は無駄なく利用でき雇用や二酸化炭素の排出削減などにも大きく役立つこと が分ります。間伐で山の整備が進み、燃料として利用することで地元に雇用が生まれ、二酸化炭素の排出も減らせるとすれば、まさに 一石三丁です。

 木質バイオマスの利用については、県内でもチップボイラーやペレットボイラーの設置が進み、また木質バイオマス発電所の設置計画 もあるようですが、安定的な原料の供給体制がなければ木材市況に混乱が生じる恐れもあります。隣県の状況も含め広域的に多様な森 林資源の活用計画を定め計画的、効率的な利用を促進する必要があるのではないでしょうか。

 県は市町村との協働政策会議において長期的な森林経営のあり方と木質バイオマス利用に関する研究会を立ち上げたとの事でしたが、 そこではどのような話し合いがなされ方向が示されたのでしょうか。第二期元気プランには「資源大国」の強みを生かし、成長する秋 田とありますが、本県資源の最も大きなものは木材資源であります。石油価格が高騰を続け、原発再稼働も進まない現在のエネルギー 環境はこの資源を活かす上で大きなチャンスではないでしょうか。知事のご所見を伺います。



知事答弁


 本県の人工林資源は、本格的に伐採し、活用できる時代を迎えていることから、林業・木材産業の活性化に向けて、県産材の需要を拡 大することが重要となっており、今後、拡大が見込まれる木質バイオマスについては、積極的にその利活用を推進する必要があると考 えております。 そのためには、これまで林地に残されてきた低質材等を、低コストで安定的に供給することが重要であります。

 このような中、県・市町村協働政策会議における提案を受け、平成二十四年度に、森林経営のあり方と木質バイオマス利用に関する 研究会を設置いたしました。

 この研究会において、低質材等の安定供給に向け、間伐等の施業の集約化を一層促進する必要があることから、県、市町村、森林組 合等が連携して、森林経営計画の策定や作業の受委託契約を積極的に進めることとしました。

 また、県では、平成二十五年度に、特に大きな需要が見込まれる木質バイオマス発電について、資源の計画的、効率的な活用を図る ため、県内を三地域に区分し、未利用資源の賦存状況や、発電規模に応じた集荷圏域などを内容とするガイドラインを策定いたしまし た。




四 観光・交通戦略について


  1 大曲鷹巣道路の整備について


北林たけまさ


次に観光交通戦略について幾つか伺います。人口減少が避けられない中で観光を推進し交流人口を増やしていく事は極めて重要であり ます。しかしながら大都市から遠く全国に通用するポテンシャルの高い観光地を持たない本県にとって交流人口の増加を図る事は容易 ではありません。問題点を把握し県外から訪れやすい環境を作ることが求められます。

 そこでまず県内の交通ネットワークについて伺います。高速道路については県内部分のミッシングリンクの解消に向けて工事が進み、 また山形県との県境部についても概ね目処が立ってきました。一方県内の地域高規格道路については秋田中央道路や角館バイパスなど 一部区間が整備されたものの全体としては整備が遅れている状況です。

 特に候補路線である大曲鷹巣道路は、国道でありながらもカーブや道幅の狭い所が多く観光ルートに組み入れる事は事実上困難な状況 です。このルートが整備されれば、仙北市、大仙市などと県北部が繋がり県全体の交通ネットワークが大きく前進すると思われます。 第二期元気プランにも大曲鷹巣道路の整備が示されておりますが、今後の進め方についてお聞かせください。

知事答弁


 広大な県士を有し積雪寒冷地でもある本県が、人口減少社会を迎えていく中で、県全体の活力を維持し、地域として自立していくた めには、県外との交流や県内流動を活発にする幹線道路ネットワークの整備促進が必要であります。このため、第2期プランにおいて、 県土の骨格を形成する高速道路ネットワークの早期完成を目指すとともに、これを補完し、地域間の交流と連携を支える幹線道路とし て、地域高規格道路等の整備を促進することとしております。

 大曲鷹巣道路は、大仙市と北秋田市を結ぶ延長約120キロメートルの地域高規格道路であり、生活圏における機動性の確保や、県南 と県北の交流促進を図る上で重要な路線となるものであります。

 本路線の整備により、角館や田沢湖を経由し県北の観光地を周遊する広域観光ルートの形成、内陸部と沿岸部との物流の円滑化、さら には災害時のリダンダンシーの確保など、多方面にわたり、県全体の活性化につながる大きな効果が期待できます。

 県といたしましては、日本海沿岸東北自動車道、東北中央自動車道の全線開通が視野に入りつつあることを踏まえ、この大曲鷹巣道路 と、能代から青森に至る国道101号の高規格化を、次の重要プロジェクトとしてとらえており、先日も、私自ら太田国土交通大臣に 、これら路線の整備実現に向けた支援を要望したところであります。

 また、大曲鷹巣道路については、国の補助金を活用した道路調査費の補正予算案を今議会に提出しており、整備効果等を踏まえた優先 箇所の検討を行うとともに、今後も地元自治体や住民と一体となって、国に働きかけるなど、整備に向けた取組を一層強化してまいり ます。




  2 秋田内陸縦貫鉄道を活かした広域観光について


北林たけまさ


 また同じような視点で内陸線の活用について伺います。秋田内陸縦貫鉄道の歴史を振り返ると、昭和九年に国鉄阿仁合線として鷹巣~ 米内沢間が開業しその後阿仁合、比立内へと延伸し、一方角館側は昭和四十五年に角館線として角館~松葉間が開業し、その後二線を 結ぶ「鷹角線」の工事が進められてきましたが、昭和五十六年に角館線が国鉄の「第一次廃止対象線区」に、また昭和五十九年には阿 仁合線が「第二次廃止対象線区」に指定されたのを受けて、県と地元自治体が出資した秋田内陸縦貫鉄道が設立され、全線開通に向け て長さ五千六百九十七メートル(県内最長トンネル)の十二段トンネルが掘られ平成元年に悲願の全線開通に至りました。

 これによって内陸線は、南では秋田新幹線角館駅に、また北側では奥羽線に接続し、両端がJRと繋がり地方ローカル線としては稀に 見る好条件を備える事になりましたが、残念ながらそうした広域ネットワークを活かした取り組みは十分ではありませんでした。 県も数年前に内陸線の奥羽線乗り入れについてその可能性を探る調査をJR関係のコンサルタント会社に委託し中間報告を公表しまし たが、その後積極的な検討はされていないようです。

 現在も乗り継ぎで秋田新幹線や奥羽線に乗り継ぐ事は出来ますがダイヤの関係や列車の仕様などから観光利用は極めて少ないのが現状 です。内陸線の新社長には観光に詳しい方が決まり、観光路線の強化に取り組むことと思いますが、県としてどのような戦略で取り組 むおつもりでしょうか。

 たとえば角館から内陸線を使い大館、弘前を経由し新青森で東北新幹線に接続するルートは広域観光ルートとして十分魅力があり、直 通列車や特色ある観光列車を走らせる事は出来ないものでしょうか。

 広域観光の推進には隣県やJR東日本など多方面との協議が必要であり県が主導権を取って積極的に取り組まなければ実現は不可能と 思います。内陸線を活かした広域観光の実現に対する知事のご所見を伺います。

知事答弁


 県では、環境に優しい電気自動車等の普及拡大に欠かせない充電設備の整備を進めるため、昨年、「次世代自動車充電インフラ整備ビ ジョン」を策定し、多くの方々が自由に充電できる施設として、移動中の充電ニーズに対応する経路充電設備45ヵ所、滞在地での充電 設備150ヵ所を設置目標としたところであります。しかしながら、現段階で、整備が見込まれる箇所は、道の駅の5カ所を含め、四 六カ所にとどまっております

 このため、県では、道の駅はもちろんのこと、観光施設や商業施設等での充電器の整備が加速するよう、自治体や自動車販売店等で 構成される「あきた次世代自動車普及促進協議会」と連携し、さらなる普及啓発に努めるとともに、関係者に対し、整備を働きかけて まいります。

さらに、整備にあたり大きなインセンティブとなっている国の補助制度が今年度で終了予定となっていることから、今後も引き続き充 電設備の整備が円滑に進むよう、その延長を国に強く要望しているところであります。

 また、平成二十二年度及び二十三年度に実施した「次世代自動車実証事業」では、仙北市、大学、県内外の自動車や充電器メーカー、 地元観光事業者等による産学官コンソーシアムを立ち上げ、田沢湖地区において、EVタクシーでの走行実験などを行い、低炭素観光の 可能性等を検討いたしました。

 その結果、EVタクシーの利用が観光地のイメージアップにつながることも確認され、仙北市において、観光施設等への充電器の整備が 進められているほか、暖房に電気ヒーターを使用することにより、航続距離が減少することから、県内企業において、実証データを活 用した製品の改良が行われております。

 さらには、ビジョンにおいて経路充電設備の配置目標を設定する際にも、積雪山間地での走行実績を踏まえ、全国的な平均設置間隔よ りも短くするなど、実証結果を多面的に活用しております。




  3 電気自動車の充電設備の整備について


北林たけまさ


 次に観光交通戦略に関連して電気自動車の充電設備の整備について伺います。電気自動車は現在国内7500万台の自動車の内3万台 にすぎませんが、ここ数年のうちに急速に普及していく事が予想されます。当然電気自動車を使っての旅行者も増えるものと思います が、その際に必要なのは道の駅などでの高速充電設備です。

私の地元にある「道の駅たかのす」には最近充電設備に関する問い合わせが多いと聞きます。現在県内の充電設備は自動車の販売デー ラーが中心であり、県内30箇所の道の駅では象潟の「ねむの丘」1ヶ所にとどまっているようです。

 山形県ではほとんどの道の駅に設置されているようですが、本県でも道の駅への充電設備の設置を急ぐべきではないでしょうか。また 県は「あきた次世代自動車実証コンソーシアム」を立ち上げ平成二十二年度に五千五百万円、平成二十三年度には2970万円の 事業費を予算化し電気自動車実証試験を行いましたがどのような成果が得られたのでしょうか。お聞かせください。

知事答弁


 県では、環境に優しい電気自動車等の普及拡大に欠かせない充電設備の整備を進めるため、昨年、「次世代自動車充電インフラ整備 ビジョン」を策定し、多くの方々が自由に充電できる施設として、移動中の充電ニーズに対応する経路充電設備45ヵ所、滞在地での 充電設備150ヵ所を設置目標としたところであります。

 しかしながら、現段階で、整備が見込まれる箇所は、道の駅の5カ所を含め、46ヶ所にとどまっております。

 このため、県では、道の駅はもちろんのこと、観光施設や商業施設等での充電器の整備が加速するよう、自治体や自動車販売店等で 構成される「あきた次世代自動車普及促進協議会」と連携し、さらなる普及啓発に努めるとともに、関係者に対し、整備を働きかけて まいります。

 さらに、整備にあたり大きなインセンティブとなっている国の補助制度が今年度で終了予定となっていることから、今後も引き続き 充電設備の整備が円滑に進むよう、その延長を国に強く要望しているところであります。

 また、平成二十二年度及び二十三年度に実施した「次世代自動車実証事業」では、仙北市、大学、県内外の自動車や充電器メーカー 、地元観光事業者等による産学官コンソーシアムを立ち上げ、田沢湖地区において、EVタクシーでの走行実験などを行い、低炭素観光 の可能性等を検討いたしました。

 その結果、EVタクシーの利用が観光地のイメージアップにつながることも確認され、仙北市において、観光施設等への充電器の整備 が進められているほか、暖房に電気ヒーターを使用することにより、航続距離が減少することから、県内企業において、実証データを 活用した製品の改良が行われております。

 さらには、ビジョンにおいて経路充電設備の配置目標を設定する際にも、積雪山間地での走行実績を踏まえ、全国的な平均設置間隔 よりも短くするなど、実証結果を多面的に活用しております。




  4 外国人観光客の誘致について


北林たけまさ


 次に外国人観光客の誘致について伺います。 昨年訪日外国人観光客は初めて一千万を突破しましたが、政府は更にこれを二〇二〇年までに倍増となる二千万人を目標に掲げていま す。また今年の三月に羽田空港の国際線枠が拡張され羽田空港経由で入国した外国人は二割程も増えているようです。

 全国各地の観光地は急増する外国人観光客で息を吹き返したところもあるようですが、本県のこれまでの外国人観光客誘致はソウル便 や台湾等のチャーター便に限られているように思います。羽田空港経由での入国が増えているとすれば、羽田から秋田空港や大館能代 空港への定期便を使った観光客誘致にも本格的に取り組むべきではないでしょうか。外国人観光客誘致に対する取り組みについて知事 のご所見を伺います。

知事答弁


 急速に拡大している訪日外国人観光客の誘致は、人口減少が進む本県において、交流人口の拡大と地域経済の活性化を図る上で重要 であり、これまで、東アジアを重点地域として、台湾にあってはチャーター便を中心とした誘客を、韓国にあっては定期便を活用した 誘客を図ってきたところであります。

 こうした中、秋田・ソウル国際定期便については、この度、運休という残念な結果となりましたが、本県の幅広い国際交流を進める 上で必要不可欠な路線であり、十月下旬の冬季スケジュールからの運航再開に向けて、関係者と連携しながら努力していかなければな らないと考えております。

 また、東南アジアについては、経済の著しい発展とともに日本への旅行需要が大きく増加し、今後もその成長が期待できることから 、タイの首都バンコクを拠点として、本県への観光誘客に本格的に取り組んでいくこととしております。

 近年、日本を訪れる外国人旅行者は、東京等の主要観光地から地方へと日を向けるなど変化してきていることから、日本へのリピー ターをはじめ、首都圏に滞在している訪日客を秋田へ誘客するため、日本に駐在している外国人に対し、本県の情報発信を行うなどの 具体的な取組を始めるとともに、新たな対策についても検討しているところであります。
 また、羽田空港から秋田空港、大館能代空港へ定期便を運航する航空会社や、JR東日本においては、訪日客を東北など地方へ誘致す る取組を進めており、県といたしましでも、外国人観光客の皆様から「次は秋田へ」と訪れていただけるよう、交通事業者などと連携 して、本県への誘致に向けた取組を積極的に進めてまいります。




五 国の農政改革について


  1 県の方針と対応策について


北林たけまさ


 次に米政策の見直しに対する県の対応について伺います。昨年政府から米政策の見直しが発表され、5年後を目途にした生産調整の廃 止や経営安定所得対策の見直しなどが示されました。コメ依存度の高い本県にとってこの見直しによる影響は極めて大きく、改革への 対応の成否が本県農業の将来を左右すると言っても過言ではないと思います。

 ところで知事は先月十二日の定例会見で持論を展開し「コメをやっていると絶対に人口は減る」「コメを極限まで減らす決断すら必 要」などと述べ波紋を呼びました。農家に意識改革を促す狙いがあった事は理解しますが、同時に本県農業の将来ビジョンも示さなけ れば農家は不安を強くする一方です。

東大の農学部教授などを務める生源寺眞一氏の書いた「日本農業の真実」という本を読むと「我が国の農業は集約型と土地利用型の2 つに分ける事が出来ます。集約型は限られた土地を有効に活用し品質を追求する部門で、野菜や果樹、花、畜産などが代表です。この 分野は需要も安定しており経営的にも法人化された所が多く日本の農業の中では健闘している方です。一方土地利用型農業は大きく水 田作と畑作に分かれるが、畑作の中心は北海道であり、既にヨーロッパ水準の規模の農業経営が当たり前になった。問題は水田である 」と本の一節にありました。

水田農業が難しい問題になった背景には水田農業が我が国の文化と深く結びつき単なる食料生産としてだけでなく集落の維持や国土の 保全など多面的な機能を有しており、それゆえ食管制度や減反の導入などコメについては他の品目には見られない国の強い関与があっ たことなどが挙げられます。土地利用型である水田農業は経済原則から言えば広い土地が無ければ本来成り立たないものが、様々な政 策により中山間地などでも水田が維持されてきたのも事実です。

また本県は全国で三番目に広い13万ヘクタールの水田を有するにも かかわらず生産調整の為そのスケールメリットを生かす事が出来ませんでした。そうしたコメを巡る波乱の歴史の中でも生産調整の廃 止を柱とする今回の農政改革は、自由主義経済の中で何とか持ちこたえてきた価格維持政策が限界に達し、とうとう市場経済にゆだね られたとの印象を受けます。

コメ依存の高い本県農業は当然改革の影響を強く受けますが、知事は生産調整廃止が決まった当初から強い反対の意向を示さず比較的 肯定的に捉えていたように感じました。今回の農政改革に対する率直なお気持ちをお聞かせください。

一方知事はコメと人口減少を結び付けコメ削減の必要性を強調しているようですが、本県のコメづくりはそれほど将来性の乏しいもの でしょうか。「減反政策が廃止されれば法人化、大規模化が進み人口減が加速する」との発言もあったようですが、大規模化が進めば 所得が増え、後継者も生まれるでしょう。

また人手が余れば集約型農業に取り組む余裕も出るでしょう。改革によって本県の持つ強み をどう活かすのか、またどの部分の強化が必要なのか、いずれにしても将来に希望の持てる本県の農業ビジョンを示して欲しいもので す。また一方で中山間地の水田の大規模化は困難であります。規模拡大の難しい地域での水田の保持、農家の収益確保のためにはどの ような取り組みを進めるべきでしょうか。

知事答弁


 戦後の本県農業は、稲作とともに歩んでまいりましたが、この間、食の多様化や少子高齢化の進行等により、米の消費量は一貫して 減少し、価格も下落傾向が続いており、消費拡大策を強化するとしても、今後、国内需要が一気に増加に転じることは難しい状況にあ ります。

 また、日本の美味しい米であれば、輸出に活路を見い出せるとの意見もありますが、近年は、工業分野における、海外の大消費地に 生産拠点を置くパターンと同様に、日本の農業法人や企業が東南アジア諸国に進出し、現地で日本の品種を低コストで生産する動きが 広がっており、輸出にも一定の限界があることは否めません。

 こうした状況を踏まえますと、米政策の見直しは避けて通れないものでありますが、40年余りにわたり、生産調整に粛々と協力し てきた農業者の心情に思いを致すとき、私自身も複雑なものがあります。

 また、改革の影響が幅広い分野に及ぶことも心配されますが、私としましては、今般の改革をチャンスに変える気持ちで、前向きに 対応しなければとの思いを強くしております。

 このため、本県の強みである米については、大規模・低コスト稲作の確立やブランド力の向上等により、競争力を強化しつつ、園芸 作物の拡大や六次産業化にさらに力を入れ、米のみに依存しない複合型の生産構造を確立したいと考えております。

 また、本県農業を支える担い手が、厳しい環境の中にあっても、強い経営体として逞しく発展していけるよう後押しするとともに、 営農条件が厳しく規模拡大等の困難な中山間地域においては、規模は小さくても、特色ある農業の実践を通じて一定の農業所得が得ら れるよう、支援してまいります。

 今般の農政改革、特に、米の生産調整見直し後の競争激化を見据えると、それまでの4年間の取組が、農業・農村の将来を大きく左 右するものと考えており、本県農業の発展に確かな道筋を付けるため、全力で取り組んでまいります。




  2 飼料用米について


北林たけまさ


私は素人ながら、コメを極限まで減らすのではなく品質や価格で競争力を高めまた様々な用途を開拓するなど本県水田農業の強みを伸 ばし、一方で土地利用型と集約型農業を組み合わせる事で所得の向上を図るべきと考えます。もちろん六次産業化など付加価値を高め る取り組みも欠かせません。知事が度々おっしゃるようにコメを取り巻く国際環境が厳しいことはよくわかりますが、アジアの国々も 経済が成長するにつれ人件費が上昇し競争力は低下します。長期的な視点で本県農業の育成に取り組んでいただきたいものだと思いま す。様々お話させていただきましたが、農政改革に対する県の方針と対応策について知事のご所見を伺います。

関連して飼料用米について伺います。経営安定所得対策の見直しで直接支払が半減した一方飼料用米の交付金は大幅に引き上げられた ことにより今年の作付面積は大幅に増えたものと思いますが、本県の今年のコメ作付の状況が分りましたらお知らせください。

 また飼料用米については栽培技術の確立や保管方法、輸入飼料との混合場所や割合等、多くの課題があるようです。しかしながら主 食用米の減少を考えると飼料用米の生産を増加することが極めて重要と思いますが、県は飼料用米の拡大にどのように取り組んでいく おつもりでしょうか。お聞かせください。



知事答弁


 今年の飼料用米の作付面積は、六月十五日時点で、昨年に比べ3割程度増加し、約1000ヘクタールとなっております。

 数量払いの導入により助成単価の上限が引き上げられたものの、飼料用米の将来に今一つ確信が持てないことなどを背景に、需要の ある県北地域を除き、総じて様子見の状況にあり、今年の転作面積の増加分については、実績のある加工用米で対応しようとする農業 者やJAがほとんどであります。

 こうした傾向は全国的なもので、その結果、加工用米が供給過剰となり、このままでは、加工用米の売渡契約や価格面への影響も懸 念されることから、現在、JA等に対し、需要が見込まれる飼料用米への切り替えを働きかけているところであります。

 このように、新しい仕組みの下で飼料用米が広く普及・定着するためには、一定の期間を要するものと思われますが、飼料用米は、 水田を維持しつつ、消費が減り続ける主食用米からの転換を図る有力な作物でありますので、県としましては、今後の生産・利用の拡 大に向け、農業者が取り組みやすい環境の整備に努めることが重要であると考えております。

 このため、今年度から、専用品種での700キロ穫りの技術実証に取り組むとともに、県北の大規模養豚や比内地鶏への供給拡大に 加え、県産牛ブランドの確立とも連動しながら、県内畜産団地と結びついた地域内流通の推進に努めてまいります。

 さらに、流通面では、飼料用米専用の乾燥調製施設や保管施設など、既存施設の改修等に対し、県独自の支援制度を設け、農業者や JA等の取組を後押ししてまいります。




六 介護保険制度について


北林たけまさ


 次に介護保険について伺います。介護保険は高齢者の介護を社会全体で支える仕組みとして平成十二年にスタートし今では高齢者介護 の世界にはすっかり定着しております。要介護認定を受けた利用者はケアマネージャーにサービス調整を依頼し自由にサービスを利用 できるようになりました。

 また利用ニーズの高まりと共に民間企業やNPOなども介護サービス分野に参入し介護付き高齢者住宅など介護ビジネスも続々と誕生 しております。一方で総介護費用は増大が続いておりこの制度を将来にわたって持続可能な制度とする為には課題も多いようです。

 そこで本県の介護費について伺います。総務省の資料を見ると本県の介護保険の認定者は平成二五年十二月現在で七万千四百五十五人 、受給者は五万七千二百九十八人、十二月に給付された介護費は101億円余りに上ります。これを5年前と比べると認定者が20%、 受給者が23%それぞれ増えているのに対し介護費は35%増えております。

全国的にも介護費は増加しておりますが、本県の伸び率はそれを上回っており、更に詳しく見ると居宅の一件当たりの金額の増加率が 29.3%と全国平均の5.5%を大きく上回り金額は一万円強上回っております。

こうした増加の背景にはどのような要因があるとお考えでしょうか。また今後も総介護費が増え続けるとすれば保険料と介護サービスの バランスをどうとっていくのか、県当局の考え方をお示し下さい。


知事答弁


 本県の介護費は、介護サービスの利用者、特に要介護三以上の介護度の高い利用者が増えていることから、大幅に増加してきでおりま す。

 このうち、本県において居宅サービスの利用が大きく伸びている要因としては、全国と比べて家族と同居している高齢者の割合が高く、 介護度が高くなっても在宅で生活される方が多いことや、近年、短期入所施設の整備が急激に進んだことがあげられます。

 人口の将来推計を勘案すれば、介護費の増加傾向は今後しばらくは続くと見込まれることから、持続可能な制度とするためには、ご指 摘のように、保険料と介護サービスのバランスを考慮した施策の展開を図る必要があります。

 市町村においては、現在、平成二十七年度からスタートする「第六期介護保険事業計画」の策定作業に着手しておりますが、今回の計 画では、計画期間の3年間のみならず、中長期的な視点に立ち、平成三十七年度までのサービス量や給付費、保険料の水準を推計するこ ととされております。

 県では、市町村の計画策定に対し必要な助言を行うとともに、地域包括ケアシステムの構築や介護予防事業の推進などを、県が策定す る「介護保険事業支援計画」に盛り込むほか、市町村の中長期的な見通しの背景等を調査分析し、今後の支援のあり方について検討して まいります。

 また、こうした検討結果も踏まえ、介護保険制度が将来にわたり安定したものとなるよう、保険料と国・地方の負担のあり方など、制 度の抜本的な見直しについて、引き続き国に対して要望してまいります。


北林たけまさ

以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。


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